MaaS(マース:Mobility as a Service)とは概念である。

ここ最近、ニュースやWEB記事でも MaaS(Mobility as a Service :「マース」)という言葉を目にする機会が増えている。

Mobility as a Serviceを直訳すると「サービスとしての移動」のことを示すが、ここの定義を整理しておくことが大事だ。

MaaS は、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を 1 つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ「移動」の概念である。

つまり、MaaSは、いろいろな種類の交通サービスを、需要に応じて利用できる一つの移動サービスに統合することだとも言える。

ここで、忘れてはならないのが、MaaSとは、あくまでも概念であることである。

MaaS(マース:Mobility as a Service)は、次世代交通システムとして語られることも多いがテクノロジーや仕組みだけを見てしまうと本質を見失ってしまう。

あらゆる公共交通機関を、ICTを用いてシームレスに結びつけ、人々が効率よく、かつ便利に使えるようにするシステムのことだ。

MaaSとは概念であるから、重要なことは、どんな課題に対してどんな解決法を考えるかということである。

つまり、解決したい課題があって、そのために何に取り組むのか、それが MaaSという概念を考えることだと言える。

従来の移動の体験そのものの価値を変えるような発想を起点にして考えることが大切である。

技術ありきのMaaSでは、利用者(ユーザー)のニーズを満たすことは難しい。

「こんなサービスがあったらいいなぁ~」
「この問題を解決する方法はないかなぁ~」

そのような小さなお悩みを解決することに着目することが大切である。

もちろん、多くの社会課題の解決も MaaSでなのだが、もっと本質的に人が使いたくなるサービスを生み出して、より多くの人が喜ぶ世界を作っていくことが求められてゆくのではないだろうか?

たしかに、現状の日本では交通に関しては、法規制の問題が山積みで、何かをやろうとしても、実現することに大きな障壁が存在している。

また、収集されるデータの活用にも個人情報保護の課題があり、アイディアを簡単に実現できないことも多いが、MaaSを概念として考え、どんな課題に対してどんな解決法を考えるかにフォーカスすることが障壁を越えるための原動力になるはずだ。

※ICT(Information and Communication Technology)は、「情報通信技術」の略として使っている。IT(Information Technology)とほぼ同義の意味だが、技術の活用を強調したいため使っている。